「頑張っても給料が上がらない。10年後も同じ会社にいると思うと息が詰まる」
「このまま60歳まで働き続けるしかないのか、と思うと夜眠れない」
その感覚は「逃げ」じゃない。構造を見抜いた、正常な反応だと私は思っています。
私は42歳のITエンジニアです。過去に個別株やレバレッジETFで500万円以上の損失を出し、今はインデックス投資を中心にサイドFIREを目指しています。
この記事では「なぜFIREを目指すようになったのか」——その感情的な動機と、構造的な理由を書きます。
「会社が嫌い」「楽して稼ぎたい」という話ではありません。「自分の人生の主導権を、自分で持ちたい」という話です。
私がサイドFIREを目指す理由は
「会社が嫌いだから」ではない。
「人生の主導権を、自分の手に取り戻したいから」だ。
お金は自由を買うための道具
主導権が幸福度を決める
「サラリーマンに絶望した」のではなく「構造に気づいた」
正直に言います。私は30代のころから、働き続けることへの漠然とした違和感を持っていました。
「頑張りが報われない」という感覚ではなく、もっと根本的な何か。その「何か」の正体がわかったのは、30代前半のある出来事がきっかけです。
30歳手前、「頑張るほど損をする」と気づいた瞬間
私はITエンジニアとして、あるプロジェクトを長年担当していました。経験を積み、それなりに貢献できるようになってきたと感じていた頃、突然の異動を告げられました。まったく別の技術領域のプロジェクトへの配置転換です。
知識もゼロ、人間関係もゼロ。しかもそのプロジェクトはすでに炎上していました。納期と責任だけはある状況で、毎日怒鳴られながら残業し続ける日々が続きました。
そのとき、あることに気づきました。「頑張って成果を上げるほど、より難しいプロジェクトに送られるだけで、給料は変わらない」という構造です。
前のプロジェクトで信頼を積み上げたことが評価されたのかもしれません。でもその「評価」の使われ方は、私の待遇を改善することではなく、炎上案件の火消し役として投入することでした。頑張れば頑張るほど、自分の首を絞める構造になっている。
これが、30歳手前でサラリーマンという働き方に根本的な疑問を持つようになったきっかけです。
「報われない」ではなく「報われる設計になっていない」
「頑張っても給料が上がらない」と感じる人は多いと思いますが、私が気づいたのはそれよりもう一段深いところです。
サラリーマンの給与体系は、基本的に「会社が存続し、昇進の席が空いていれば上がる」という設計になっています。個人の努力は必要条件ですが、十分条件ではない。ポストは有限で、会社が傾けばその椅子ごと消える。
サラリーマンの給与天井と昇進限界——40代の現実
「頑張れば上に行ける」という信念は、30代半ばを過ぎたあたりで少しずつ現実と乖離し始めました。
大卒40歳の3人に1人はヒラ社員という現実
文春オンラインの報道によると、大卒・40歳のサラリーマンのうち約3人に1人がヒラ社員のままだというデータがあります。
「自分は大丈夫」と思っていても、確率的には珍しい話ではない。しかも40歳を過ぎると転職市場での選択肢も狭まってくる。「今の会社で頑張るしかない」という状態に自然となっていく。
上がらない手取りと、ITエンジニアとしての35歳の壁
ITエンジニアには「35歳定年説」という言葉があります。転職市場での需要が35歳を境に急に下がる、という経験則です。
実際、私自身もその感覚は肌で感じました。スキルが古くなるスピードが早く、新しい技術をキャッチアップし続けないと市場価値が下がる。しかしキャッチアップするための時間は、日々の業務に追われる中でどんどん圧迫される。
昇進の椅子は少なく、給与の天井は見えてきて、転職もどんどん難しくなる。この構造を理解したとき、「収入を会社1本に依存し続けることへの漠然とした恐怖」が、はっきりした輪郭を帯びてきました。
| サラリーマンの構造リスク | 内容 |
|---|---|
| 収入の依存 | 会社の業績・上司の評価・組織都合に左右される |
| 昇進の有限性 | ポストは有限。努力が直接報酬に結びつくとは限らない |
| 市場価値の経年劣化 | ITエンジニアは特にスキルの陳腐化が早い |
| 時間の非可逆性 | 使った時間は戻らない。40代の10年は取り返せない |
投資で500万円を溶かしたことが、逆に目を覚まさせた
会社への閉塞感を持ちながらも、私はずっと「何かしなければ」という気持ちを行動に変えられずにいました。そのきっかけが、皮肉なことに「投資での大失敗」でした。
損失の痛みが「お金の構造」を学ばせた
個別株とレバレッジETFで500万円以上を失ったとき(詳細はこちら)、私は初めて「お金」について本気で向き合いました。
なぜ損をしたのか。どうすれば守れたのか。そのプロセスでインデックス投資・複利・資産形成の基礎を学び直し、「会社の給料だけに頼らない収入構造を作る必要がある」という結論にたどり着きました。
失敗がなければ、ここまで真剣にお金と向き合わなかったと思います。500万円という授業料は高すぎましたが、それが今の再設計の起点になっています。
個別株の失敗で気づいた「リスク集中」の怖さ
個別株への集中投資が失敗した理由は、リスクが1点に集中していたからです。特定の会社・特定の業種・特定のタイミング——そこに賭けた結果、外れれば全損に近い状態になる。
これはサラリーマンの構造と同じです。収入の全てを1社の業績・1人の上司の評価に依存している。リスクが1点に集中している状態。だから「分散」が必要なのだと、投資の失敗を通じて体で理解しました。
なぜ会社員を辞めず「サイドFIRE」を選ぶのか
「じゃあ会社を辞めればいい」と思う人もいるかもしれません。でも私が目指しているのはそれとは少し違います。
サラリーマンという契約形態が問題だった
「転職すればいい」と思う人もいるかもしれません。でも私が転職を選ばなかったのには理由があります。
別の会社のサラリーマンになっても、本質的な問題は解決しないからです。
問題は「この会社が嫌い」ではなく、「サラリーマンという契約形態そのもの」にあると気づいていました。サラリーマンである限り、何をするか・何をしないかは最終的に会社が決める。個人の意見や自由は、組織の論理の前では常に後回しにされる。
私が取り戻したかったのは「何をするか、何をしないかを自分で決める権利」です。お金を貯めることの目的は自由を買うこと。自由が増えると主導権が手に入る。そしてその主導権こそが、自分の幸福度を決めると思っています。
働くこと自体は嫌いではありません。フリーランスとして好きな仕事を選ぶとか、週3日だけ関わるとか、ゆるい形での労働は望んでいます。「好きなときに好きな仕事を選べる状態」——それを手に入れるための資産形成が、私のサイドFIREの動機です。
7,000万円という数字の根拠
私が目標にしているのは資産7,000万円です。(サイドFIRE設計の詳細はこちら)
4%ルール(トリニティスタディ)によると、資産の4%を毎年取り崩しても30年以上資産が持続する可能性が高いとされています。7,000万円×4%=年間280万円、月23万円程度。副業・パートなど少額の労働収入と組み合わせれば、月25〜30万円の生活費は十分まかなえる水準です。
現在は月30万円の積立(NISA10万円+成長投資枠20万円)を続けており、47歳での到達を目標にしています。
ただ、正直に言うと、合理的な計算だけで見ればサイドFIREは5,000万円でも成立します。4%運用で年200万円、月10万円程度の副業収入と組み合わせれば、生活費はまかなえる水準です。
それでも私が7,000万円を目標にしているのは、「心配性な自分の性格」がそうさせているからです。5,000万円で計算上は成立すると頭ではわかっていても、「本当に大丈夫か」という不安が消えない。その2,000万円の差額に合理的な根拠はありません。
7,000万円という数字は、その不安を静めるための心理的安全ラインです。
約4,500万円
目標7,000万円まで残り約2,500万円
月30万円積立・年利4%想定で継続中
閉塞感を感じたまま働き続けることの本当のコスト
「いつかFIREしたい」と思いながら、何もしないまま時間が過ぎていく。このコストは思った以上に大きいと感じています。
お金より時間の非可逆性
お金は増やすことができますが、時間は取り戻せません。40代の10年間で培った「選択の自由」と、60代になってから手にする「選択の自由」は、価値が全く異なります。
体力がある今のうちに、自分が本当にやりたいことに時間を使いたい——それが老後まで待てない理由です。
資産が心を変えたのではなく、行動したら資産の価値に気づいた
1年ほど前、職場で理不尽な条件を突きつけられました。一度断ったはずの、パワハラ気質の担当者がいるプロジェクトを、約束を反故にして追加で担当させられそうになったのです。
私は言葉で抗議する代わりに、感情を表に出さず淡々と定時で帰り続けました。残業もせず、プレッシャーにも動じず、ただ毎日定時に退社する。そのまま退職する覚悟もありました。
しばらくすると、上司側が折れました。そのプロジェクトの担当を外れることになったのです。
そのとき初めて気づきました。「自分には3,000〜4,000万円の資産がある。それがあれば辞めてもどうにでもなる」——それまでその資産が心の支えになっていたことすら、意識していなかった。
資産があったから強くなれたのではありません。行動してみたら、自分がすでに持っていた選択肢の価値に気づいた。その順番でした。(資産3,000万で会社の立ち回りが変わった話)
まとめ:閉塞感の出口は「辞めること」ではなかった
- 「頑張るほど難しい現場に送られる」——30歳手前の実体験がサラリーマン構造への気づきになった
- 「報われる設計になっていない」という認識の転換が出発点
- 投資の500万円損失が、逆にお金と資産形成を本気で学ぶきっかけになった
- サイドFIREの動機は「リスク分散」ではなく「人生の主導権を取り戻すこと」
- 資産は先に「勇気をくれる」のではなく、行動した後で「支えていたことに気づく」もの
閉塞感を感じている人に伝えたいのは、「逃げるな」でも「今すぐ辞めろ」でもなく、「構造を知って、設計し直せ」ということです。
※本記事は特定の投資商品への勧誘を目的とするものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。

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