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※当記事の情報は投資助言を目的としたものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。IPO投資を含む株式投資は元本保証ではなく、損失が生じるリスクがあります。
この記事を書いた人
ITエンジニア歴20年以上。個別株・レバレッジETFで累計562万円の損失を経験後、インデックス投資に切り替えて資産4,800万円超。IPO投資を2年間・16口座・約1,000回申し込んだ一次情報保有者として、広告や成功談に偏らないリアルな実態をお伝えします。
「IPO投資って当たれば大きいって聞くけど、実際どうなの?」
「複数口座を開けば当選確率が上がるって本当? でも管理が大変そう…」
「落選続きで心が折れてきた。もうやめた方がいい?」
16口座・約1,000回の申込作業を2年間やり続けた経験から、「割に合わなかった」理由を正直に書きます。
2年間・約1,000回の申込作業で利益47万円。
手間と機会損失を考えると、私には割に合わなかった。
当選7回
利益合計47.6万円
この記事では、私が2年間にわたってIPO投資に全力で取り組み、最終的にやめるまでの経緯をリアルに書きます。「やめて正解だった」という後付けの美化ではなく、具体的な数字と体験から判断した話です。
なお、私の体験はあくまで一例です。IPO投資に向いている人もいますし、2015〜2016年という時代背景も大きく影響しています。「全員がやめるべき」という話ではないことをあらかじめお断りしておきます。
IPO投資とは何か――基本の仕組み
IPO(新規株式公開)とは、未上場の企業が株式市場に上場する際に、一般投資家向けに株式を販売することです。上場直後に株価が公募価格を大きく上回るケースが多く、当選すれば初値売りで利益を得やすいとされています。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①ブックビルディング | 購入希望価格と株数を証券会社に申し込む |
| ②抽選 | 応募者多数の場合は抽選で当選者を決定 |
| ③購入 | 当選した場合、公募価格で株を購入 |
| ④上場・売却 | 上場初日に売却して利益を確定するのが基本 |
ポイントは、IPOはあくまで「抽選」であること。申し込んだからといって必ず当選するわけではなく、人気銘柄では倍率が数十〜数百倍になることも珍しくありません。また、当選しても初値が公募価格を下回った場合は損失になります。元本保証の投資ではない点を最初に押さえておいてください。
私のIPO投資の実態――16口座・約1,000回の申込
当選確率を上げるために16社の口座を開設した
IPOは複数の証券会社から応募することで当選確率が上がります。私は当時、以下の16社に口座を開設して応募していました。
SBI証券 / 楽天証券 / 野村証券 / 大和証券 / SMBC日興証券 / マネックス証券 / 松井証券 / カブドットコム証券 / 岩井コスモ証券 / みずほ証券 / 三菱モルガン・スタンレー証券 / 東海東京証券 / 岡三オンライン証券 / ライブスター証券 / いちよし証券 / HS証券
ただし全銘柄に全社から応募できるわけではなく、各銘柄の幹事証券会社が限られています。感覚的には1銘柄あたり平均5〜6社から応募していました。
申込作業の実態
2016年:92社上場 → ほとんどに応募
合計約180銘柄 × 平均5〜6社 = 延べ約1,000回の申込作業
毎回の申込には「銘柄調査 → 各口座へのログイン → ブックビルディング申込 → 資金移動」という工程があり、これを約2年間繰り返しました。
16口座管理の「現実的な苦労」――競合記事が書かない実態
「複数口座を開設すれば当選確率が上がる」という情報は多いですが、管理の煩雑さについて書いてある記事はほとんどありません。実際にやってみてわかった苦労を正直に書きます。
引越しのたびに16社すべてに住所変更の届け出が必要です。マイナンバー提出の義務化が始まったときも、16社分の書類を用意・郵送しました。「5社くらいまとめて対応してまた明日…」という作業が何週間も続きます。
「この銘柄はSBI・楽天・野村が幹事」となったら、3口座それぞれに公募価格×申込株数の資金を用意しなければなりません。銘柄ごとに金額が違うため、毎回「どの口座にいくら入れるか」を計算して振り込む作業が発生します。資金が16口座に分散しているため、移動のたびに送金手数料やタイミングも考慮が必要でした。
当選した際の売却益は各口座で発生します。特定口座(源泉徴収あり)で処理している口座でも、損益通算のために全口座の年間取引報告書を確認する必要があります。16口座分の書類を集めて突き合わせる作業は、確定申告の時期に毎年重くのしかかりました。
IPO投資をやめると決めた後、使わない口座を整理しようとしたところ、各社の解約手続きがバラバラ。電話が必要な証券会社、書面を郵送する証券会社、残高をゼロにしてからでないと手続きできない証券会社……。「開けるのは簡単、閉じるのは手間」という非対称性を身をもって経験しました。
「複数口座で当選確率を上げよう」という記事は多いですが、こうした運用コストについて書いてある情報はほとんど見かけません。16口座の管理は、IPOが本業並みに管理できる人でなければ、かなりストレスになります。
2年間の当選実績と損益
2015年の当選実績
| 銘柄 | 公募価格 | 幹事 | 初値 | 損益 |
|---|---|---|---|---|
| ヘルスケア&メディカル投資法人(3455) | 110,000円 | 日興 | 170,000円 | +60,000円 |
| モバイルファクトリー(3912) | 1,410円×100株 | SBI | 2,812円 | +140,200円 |
| イトクロ(6049) | 1,930円×200株 | SBI | 2,010円 | +16,000円 |
| ラクト・ジャパン(3139) | 1,400円×100株 | 野村 | 1,400円 | ±0円 |
| 2015年合計 | ― | ― | ― | +216,200円 |
2016年の当選実績
| 銘柄 | 公募価格 | 幹事 | 初値 | 損益 |
|---|---|---|---|---|
| LINE(3938) | 3,300円×100株 | 野村 | 4,900円 | +160,000円 |
| JR九州(9142) | 2,600円×100株 | 野村 | 3,100円 | +50,000円 |
| JR九州(9142) | 2,600円×100株 | SMBC日興 | 3,100円 | +50,000円 |
| 2016年合計 | ― | ― | ― | +260,000円 |
2年間の総括
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 応募銘柄数(概算) | 約180銘柄 |
| 延べ申込作業数(概算) | 約1,000回 |
| 当選回数 | 7回(JR九州は2口座から当選) |
| 利益合計 | 476,200円 |
| 実質的な当選確率 | 約4%(銘柄ベース) |
2015〜2016年と最近のIPO環境の比較
私がIPO投資に取り組んでいた2015〜2016年は、初値が公募価格を大きく上回る銘柄が多い時代でした。しかし最近はその旨味が明らかに薄れています。
| 指標 | 2015年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 上場社数 | 97社 | 65社 |
| 初値が公募価格を上回った割合 | 約86%(84勝11敗) | 約82%(53勝10敗2分) |
| 初値2倍以上の銘柄 | 28社 | 5社 |
| 上昇率トップ | +433%(ロゼッタ) | +約330%(フラー) |
勝率だけ見ると2025年も約82%と悪くありません。しかし「2倍以上になる銘柄がわずか5社」という点が当時との大きな違いです。2015年は私が当選したモバイルファクトリーでも初値が約2倍で、+433%のロゼッタのような銘柄も複数ありました。当時は「当たれば大きい」という状況でしたが、現在は上場社数も減り、大きな上昇が期待しにくくなっています。
「800万円の待機資金」をインデックス投資に回していたら?
当選確率を上げるため、16口座それぞれに約50万円ずつ資金を入れておく必要がありました。つまり約800万円がIPO待機資金として常に拘束されていた状態です。
パターン①:実際の2015〜2016年のリターンで計算
| 年 | S&P500リターン | S&P500資産額 | オルカンリターン | オルカン資産額 |
|---|---|---|---|---|
| 投資開始 | ― | 800万円 | ― | 800万円 |
| 2015年末 | +0.7% | 約806万円 | -7.5% | 約740万円 |
| 2016年末 | +9.5% | 約882万円 | -0.9% | 約733万円 |
| 2年間の損益 | ― | +約82万円 | ― | -約67万円 |
パターン②:長期平均リターン(年率)で計算
| 投資先 | 年率平均 | 2年後の資産額 | 2年間の利益 |
|---|---|---|---|
| IPO投資(実績) | ― | ― | +約48万円 |
| S&P500(長期平均) | 約9.8% | 約964万円 | +約164万円 |
| オルカン(長期平均) | 約7.5% | 約924万円 | +約124万円 |
時間と労力を考えると、コスパは明らかにインデックス投資が上です。
※長期平均はあくまで参考値。将来のリターンを保証するものではありません。
ただし、2015〜2016年の実績ベースではS&P500も+82万円と大きく差がついたわけではありません。「インデックスが圧勝」という単純な話ではなく、「手間をかけた割に見合う差がなかった」というのが正確な表現です。
IPO投資をやめた4つの理由
毎回の申込には「銘柄調査 → 各口座へのログイン → ブックビルディング申込 → 資金移動」という工程があります。これを2年間繰り返すうちに、申込作業が「義務」になっていきました。インデックス投資の「設定したら放置」というスタイルと真逆の手間です。個別株・レバレッジETFで562万円を失って「手間をかけない投資にシフトしよう」と決めた矢先に、別の手間に嵌まっていたことに気づきました。
2015年に当選したラクト・ジャパンは初値が公募価格と同じで損益ゼロでした。当選すれば必ず利益が出るわけではなく、さらに落選時は申込作業だけして利益ゼロ。この「作業の報われなさ」が積み重なります。
2015〜2016年は初値2倍以上の銘柄が28社ありましたが、2025年は5社。上場社数も97社→65社に減少。同じ手間をかけても期待できるリターンが明らかに減っています。
個別株・レバレッジETFの失敗を経て、シンプルに続けられる投資に絞ることにしました。IPO投資は面白みはありますが、「手間をかけずに資産形成する」という方針とは合いませんでした。
やめた私が「唯一の例外」にした銘柄――SpaceX IPO
一般のIPO投資をやめた私ですが、2025年にひとつだけ例外を設けました。それがSpaceX IPOです。
「やめたんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、私がやめた理由は「手間の割に合わない」という効率の問題であって、IPO投資そのものへの否定ではありません。SpaceXについては、以下の基準で例外と判断しました。
- 「一生に一度級」の銘柄であること(民間宇宙企業の上場機会は滅多にない)
- コア・サテライト戦略のサテライト枠(資産全体の数%以内)に収まること
- 初値売りではなく中長期保有を前提にしていること
実際には3株のみ参加。参加後の体験と初日の値動きについては別記事に詳しく書いています。
→ SpaceX IPO当選・初日+19%体験記|コアサテライト戦略
IPO投資に向いている人・向いていない人
私の経験はあくまで一例です。「全員がやめるべき」という話ではありません。実際に、IPO投資を継続して安定的に利益を出している人もいます。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| コツコツ申し込む作業が苦にならない | 本業が忙しく作業時間の確保が難しい |
| 複数口座の管理・切り替えが得意 | 口座管理の手間がストレスになる |
| 長期間の落選でも淡々と続けられる | 落選続きで気持ちが折れやすい |
| 「宝くじ的な楽しさ」を楽しめる | 投資を「仕組みで自動化」したい |
私が向いていなかったのは、「投資を仕組み化して手間を減らしたい」という軸があったからです。IPO投資は本質的に「手間をかけて機会を増やす」投資法なので、この軸とは相性が悪かった。
よくある質問(FAQ)
まとめ:IPO投資は「割に合わなかった」
- 16社口座開設・約1,000回の申込作業で2年間の利益は476,200円(当選7回)
- 同じ期間に800万円をS&P500に投入していた場合、長期平均では+164万円になる計算(ただし過去実績は将来を保証しない)
- 2025年はIPO市場が縮小し、大型上昇銘柄が大幅に減少
- 16口座管理には住所変更・資金移動・確定申告・解約手続きという見えないコストがある
- 向いている人は向いている。「コツコツ申し込める・管理が苦にならない」人には合うかもしれない
562万円を溶かした経験から言えるのは、「手間のかかる投資」より「続けられる仕組み」の方が最終的に資産は積み上がるということです。
→ 私がインデックス投資だけにした理由は「私がインデックス投資だけにした理由」で詳しく書いています。
IPO投資をやめた私が今も使い続けているのはインデックス積立。口座開設は無料で、月100円から始められます。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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