真面目に仕事をして、結果も出した。なのに次に待っていたのは、さらに過酷な案件でした。
「頑張るほど仕事が増えて、給料は変わらない」──そんな状況が3年、5年と続いているなら、今あなたが感じている理不尽さはまったく正常な反応です。自分の努力が足りないわけでも、職場の選択を間違えたわけでもありません。
これは構造の問題です。
私はITエンジニアとして炎上プロジェクトを完遂し続けた結果、突然まったく畑違いの部署に異動させられました。知識も人間関係もゼロの状態から、毎日怒鳴られながら残業する日々。そのとき初めて「問題は会社ではなく、サラリーマンという契約形態そのものだ」と気づき、FIREを目指すことを決めました。
この記事では、私がなぜ転職ではなくFIREを選んだのか、その理由と背景を正直に話します。
「頑張っても報われない」のは
あなたのせいではなく、構造の問題です
転職では解決しない理由
FIREで今日から変わること
頑張っても報われないサラリーマン──これは構造の問題だ
「仕事が増えるのはあなたが優秀だからですよ」
言われたことがある方は多いと思います。一見ほめ言葉に見えますが、これは裏を返せば「優秀な人に仕事を押し込む」という構造の言い訳に過ぎません。
「仕事が増えるのはあなたが優秀だからです」──この言葉の罠
私がテストチームのリーダーをしていた頃、「対応が速い・丁寧・断らない」という評判が広まりました。最初はそれが嬉しかった。でも気づいたら、報酬には一切反映されない仕事が次々と舞い込むようになっていました。
会議の議事録、他チームのフォロー、本来は別の担当者がやるべき作業の引き受け。断り方がわからないまま引き受け続けた結果、私は「頼めばやってくれる人」になっていたんです。
声が大きいだけの人が評価される。なぜ日本企業はそうなるのか
「成果を出しても評価されない。むしろ声が大きい人の方が評価される気がする」──こう感じたことはないでしょうか。
これは日本企業に特有の評価文化が関係しています。成果の量や質よりも、上司との関係性・印象・コミュニケーションの頻度が評価に影響しやすい職場は少なくありません。黙々と質の高い仕事をする人より、頻繁に上司に報告・相談する人の方が「見えやすい」からです。
この問題は個人の努力で解決できるものではなく、評価制度の設計の問題です。そしてその評価制度の根底には、もっと大きな構造的な問題があります。
「メンバーシップ型雇用」──配置も仕事内容も、すべて会社が決める契約
日本の多くの企業は「メンバーシップ型雇用」という形態を採用しています。聞いたことがある言葉かもしれませんが、その本質まで知っている方は案外少ないと思います。
ジョブ型雇用との根本的な違い
メンバーシップ型雇用とは、「この仕事をするために雇う」ではなく「この会社のメンバーとして雇う」という契約形態です。ジョブ型雇用と対比するとわかりやすいでしょう。
| メンバーシップ型雇用 | ジョブ型雇用 | |
|---|---|---|
| 配置の決定権 | 会社(上司・人事) | 基本的に本人 |
| 仕事の範囲 | 会社が決める・変わる | 職務記述書で明確 |
| 実績と報酬の関係 | 必ずしも連動しない | 職務の成果と連動 |
| 異動・転換 | 会社主導で発生する | 合意なく変更不可 |
要するにメンバーシップ型雇用では、あなたがどれほど実績を積んでも、「次にどこへ行くか・何をするか」を決めるのは会社側なのです。
「頼みやすい人」は損をする──制度設計の問題として考える
私がテストチームとして炎上プロジェクトに取り組んでいた頃の話です。2人でスタートしたチームを、約1年で10人規模まで育て上げました。時には月120時間近い残業をこなしながら、プロジェクトを何とか完遂した。
「これで次は評価が変わるはず」と思いました。実績もある、チームビルディングの経験もある。論理的にそう考えるのは当然だったと思います。
でも直後に告げられたのは、次の大型プロジェクト(過去に必ず炎上してきたジンクスのある案件)への異動打診でした。
これは私個人の問題ではありません。どれだけ優秀でも、どれだけ結果を出しても、配置の最終決定権が会社側にある以上、この構造から自力で抜け出すことはできません。
転職を考えた。でも辞めた理由
当然、転職を考えました。「この会社が特別におかしいのかもしれない。環境を変えれば状況は変わる」そう思ったのは正直な気持ちです。
📚 この気づきを言語化してくれた本
「サラリーマンという働き方の構造的な問題」に気づくきっかけになったのがロバート・キヨサキの『金持ち父さん 貧乏父さん』です。お金持ちがお金のために働かない理由、サラリーマンとして一生懸命働くことの限界——読んだのはかなり前ですが、今の自分の考え方の原点にある一冊です。
転職は「会社」を変えるが「契約形態」は変わらない
でも考えるうちに、一つの疑問が浮かびました。「転職しても、また同じ構造の中で働くことになるのではないか?」
転職で変えられるのは、上司・同僚・職場環境・給与水準・会社の文化です。でも「メンバーシップ型雇用」という契約の枠組み自体は変わりません。日本企業の大半がこの形態を採用している以上、会社を変えても配置の決定権は会社側にあり続けます。
転職することを否定しているわけではありません。職場環境・給与・人間関係を改善するために転職は有効な選択肢です。
ただ「配置や仕事内容を自分でコントロールできない」という根本的な構造は、転職だけでは変わりません。
転職した先でも、同じ構造が待っている
転職先でも実績を出せば「また任せよう」という論理は同じように働きます。優秀な人材を難易度の高い案件にアサインするのは、マネジメントとして合理的な判断です。そこに悪意はなく、メンバーシップ型雇用という制度の中で起きる必然的な結果です。
私は転職ではなく「この契約形態の外に出ること」を目標にする必要があると気づきました。その出口の一つが、FIREを目指すことだったのです。
私がFIREを選んだ本当のきっかけ
ここからは私自身の話を具体的にします。抽象的な「制度の問題」がどのように自分の人生に影響したか、できるだけリアルに書きます。
炎上PJを完遂した直後、また次の地獄に送られた
IT系の大企業でシステムテストのリーダーを任された時期のことです。プロジェクト開始時のチームは自分を含めて2名。予算・人員ともに明らかに足りない状況でしたが、徐々にメンバーを集め、最終的には10名規模のチームに育てました。
繁忙期の残業時間は毎月80時間超、120時間の月もありました。今思えば異常な水準ですが、当時は「やればできる」という感覚でやっていました。深夜に帰宅してまた翌朝出社する、という生活が1年近く続きました。
それでもプロジェクトは期限通りに完遂しました。なんとかやり遂げました。「ここを乗り越えれば、次の開発案件は多少なりとも楽なものになるはず」と思っていました。
上司との面談で告げられたのは、次の大型開発への異動打診でした。そのプロジェクトは社内でも「必ず炎上する」と有名な案件で、過去に何人も消耗して去っていった記録がありました。
品証チームへの異動──FIREを決意した瞬間
その後、さらに予想外の展開が起きました。品質保証(品証)チームへの突然の異動辞令です。
テストエンジニアとして積んできた知識・ネットワーク・信頼関係がほぼ通用しない部門でした。専門用語も違う、慣習も違う、人間関係もゼロからのスタート。そんな状況で、上司から毎日のように小言を言われながら仕事をする生活が続きました。
このとき「転職を本気で考えよう」と思いました。でも転職活動の情報を集めながら、ふと気づいたんです。「転職先でも、実績を出せばまた同じことが起きる。問題は会社ではなく、サラリーマンという契約形態そのものだ」と。
この瞬間が、私にとってのターニングポイントでした。会社を変えることに意味がないのではなく、会社を変えるだけでは問題の本質は解決しないと気づいた瞬間です。
「なら、この契約形態から自由になることを目標にしよう」──それがFIREを目指す決意になりました。
FIREを目指し始めたら、今日の仕事が変わった
FIREを「遠い将来の話」と思っている方は多いと思います。私もそうでした。でも実際に資産を積み上げ始めてから気づいたことがあります。FIREは到達したときに初めて価値を発揮するものではなく、目指し始めた今日から、じわじわと効いてくるものです。
「いつでも辞められる状態」がメンタルを変えた
資産が3,000万円を超えてきたあたりから、職場での自分の態度が変わり始めました。理不尽な条件を突きつけられたとき、以前なら「断ったら評価に響く」と思って受け入れていたことを、「それは難しいです」と淡々と返せるようになっていました。
ある時期、上司から無茶な期限の仕事を繰り返し振られたとき、私は毎日定時で退社し続けました。最終的には上司の方が条件を変えてきました。
変わったのは精神論でもなく、勇気が湧いたわけでもありません。「辞めても当面は生活できる」という数字の裏付けが、行動に余裕を生んでいたのだと思います。資産が先に勇気をくれるのではなく、行動した後で初めて資産の価値に気づく──そういう感覚です。
給料に見合う仕事だけする、という選択ができるようになった
現在の私は、報酬に見合わない仕事は明確に断ることができています。他チームの尻拭い、本来は別担当がやるべき作業、会議の議事録係。以前は「断ったらめんどくさい人と思われる」と引き受けていたこれらを、「すみません、今の業務量では対応が難しいです」と返せるようになりました。
これは「頑張るのをやめた」のではありません。頑張り方を変えたのです。自分の価値を出せる仕事に集中し、消耗するだけの仕事を断る。その選択を可能にしてくれたのが、資産という裏付けでした。
「仕事を選べる」という感覚
頑張るのをやめたのではなく、頑張り方を変えた
よくある疑問──FIREは本当に自分に関係あるのか
まとめ──構造を知ることが、最初の一歩
この記事のまとめ
- 「頑張っても報われない」のはあなたのせいではなく、メンバーシップ型雇用という制度の構造的な問題です。
- 転職は環境を変える有効な手段ですが、配置・仕事内容を会社側が決めるという契約形態は変わりません。
- 私は炎上PJへの連続アサイン→品証チームへの突然の異動という経験を通じて、「問題は会社ではなく契約形態そのものだ」と気づきFIREを決意しました。
- FIREは到達したときではなく、目指し始めた今日から、少しずつ行動の選択肢を広げてくれます。
- 最初の一歩は、証券口座を開いて積立投資を始めること。そこからすべてが変わり始めます。
自分を責めなくていい。構造を知って、出口を探してみてください。
私がFIREを目指す理由は、「お金持ちになりたい」ではありません。人生の主導権を自分の手に取り戻したいからです。どんな仕事を・いつ・どこで・どれくらいやるか。その選択を少しずつ自分のものにしていくことが目標です。
その手段として、インデックス積立は今のところ最もシンプルで続けやすい方法だと感じています。毎月の積立額が積み上がるたびに、気持ちが少しずつ安定していく感覚があります。
それが「構造の外に出る」第一歩です
私が使っているSBI証券・楽天証券は、手数料・品揃えともにトップクラス。口座開設は10分程度で完了します。

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